マーケティングという言葉は仕事していれば日常的に使ったり聞いたりする言葉なのでなんとなくニュアンスはわかりますが、実際具体的に説明するとなると意外と難しいものです。マーケティング=市場調査でもないし、マーケティング=販売でもなければマーケティング=広告活動でもありません。せっかくの機会なので改めてマーケティングについて考えてみました。
マーケティングとは!?
マーケティングとは端的には販売活動・営業活動の負担を軽減する、もしくは不要にするためのものという認識になると思います。マーケットという単語は「市場」という名詞や「市場で取引する」という意味の動詞になるので本来の英単語からいくと、かなり広いことを意味する単語ということになります。日本でマーケティングとはさすがにここまで広い意味で使われることは少なく、どちらかというとより効率的に売れるための仕組み作りや戦略作りに近いように思います。そのために市場調査・製造・輸送・保管・販売・宣伝など企業活動におけるあらゆる分野に関連してくる活動となるのではないでしょうか。とはいえ現実的にはマーケティングといえば市場調査と広告宣伝の2つが主軸になっているとは思います。
マーケティングの4P

マッカーシーのマーケティング4P
マーケティングにおいてマッカーシーの4Pというのをご存知でしょうか?アメリカの経営学者であるエドモンド・ジェローム・マッカーシーがマーケティングを構成する4つの要素として考えていたものです。製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・プロモーション(Promotion)の各単語の頭文字をとったものになり、この4つを合わせて行うことをマーケティング・ミックスと言います。
製品(Product)
品質・機能・デザイン・ブランドなどマーケット(市場)のニーズに適した製品やサービスなどを送りだせるための戦略となります。
価格(Price)
マーケット(市場)のニーズに合わせた最適な販売価格・提供価格・値引額・値引条件・代金の回収方法などの設定を行うための戦略になります。
流通(Place)
マーケット(市場)の主体である消費者にいかに効率的に効果的に製品やサービスを届けるための戦略になります。販売方法・提供方法・ターゲット・ターゲットエリア・物流・商品や在庫の保管方法など多岐にわたる戦略が必要になります。
プロモーション(Promotion)
広告や宣伝、ブランディングなどの様々なコミュニケーション手段によりマーケット(市場)に認知してもらい、いかに購買意欲をかきたてるかのための戦略になります。
マーケティングの4C

マーケティングの4C
マーケティングの4Cとはマッカーシーの4Pをマーケット(市場)を通して購買者からみた視点で考えた概念のことです。具体的には顧客ソリューション(Customer solution)・顧客コスト(Customer cost)・利便性(Convenience)・コミュニケーション(Communication)の4つになります。
顧客ソリューション(Customer solution)
顧客ソリューションは製品をマーケット(市場)や購買者サイドから見た場合に置き換えたものです。その製品やサービスが購買者のどのようなニーズや問題を解決してくれるものなのかということです。
顧客コスト(Customer cost)
顧客コストは価格をマーケット(市場)や購買者サイドから見た場合に置き換えたものです。いわゆるその製品やサービスを購入・利用するのにいくらかかるのか、いくら負担になるのかということです。
利便性(Convenience)
利便性は流通をマーケット(市場)や購買者サイドから見た場合に置き換えたものです。その製品やサービスがとても気に入った購買者がいた場合、その製品やサービスの購入や利用がしやすいかということになります。販売エリアや販売方法が適してないと入手困難になり、結局購買者の手には渡らないことになります。
コミュニケーション(Communication)
コミュニケーションはプロモーションをマーケット(市場)や購買者サイドから見た場合に置き換えたものです。一方通行のプロモーションは購買者にとっては何の意味もなく、メーカーをはじめ提供者と購買者とのコミュニケーションが必須です。4Cの中でもどんどんその手法が多様化しているのもこのコミュニケーションです。
STP分析とは!?
STP分析とはマーケティングの流れのようなもので、セグメンテーションにより市場を細分化しターゲティングにより製品やサービスを送り込む標的を決め、最後にその製品やサービスもしくは自社のマーケット(市場)における立ち位置であるポジションを確認します。STP分析により的確なマーケティングを行うことが可能になります。
STP分析「セグメンテーション」
STP分析の一つであるセグメンテーションとはいわゆるマーケット(市場)の細分化ということになります。セグメンテーションを行うことにより、
- 機能を最適化することにより無駄な製造コストをかける必要がなくなる
- 販管費用を抑えることができる
- 汎用品による製品価値の低減を抑えることができる
といった効果が期待できます。
マーケット(市場)を細分化すると聞くと販売の機会損失がおこるように感じますが、実際は上記のようにより最適なマーケティング効果が期待できます。
セグメンテーションの項目
セグメンテーションは多くの場合以下の項目で行います。
地理的変数 | 地域・人工・地理条件・気候条件・慣習 |
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人口動態変数 | 年齢・性別・職業・所得・家族構成 |
心理的変数 | 仕事・ライフスタイル・パーソナリティー |
行動変数 | 初心者・常連・消費量・興味 |
ベネフィット | 快適さ・便利さ・経済性・クオリティ・健康面 |
STP分析「ターゲティング」
セグメンテーションが終われば次はターゲティングです。ターゲティングについては製品やサービスを送り込む先を5つの手法により決めていきます。
単一集中化
一見マスを狙った製品やサービスの方が良いと思いがちですが、単一集中化というのはあえて狭い・小さいマーケット(市場)を狙う手法です。狭い・小さいマーケット(市場)を狙うことにより送り込む製品やサービスをより強い立ち位置で勝負させ、強固なポジションを狙えます。
選択的特定化
事業リスクの分散を目的として行う手法で、まんべんなくマーケット(市場)に製品やサービスを投下するのではなく、より収益が望めるマーケット(市場)に投下します。例えば子供用品であれば、子供の多いマーケット(市場)に製品を投下します。
市場特定化
市場特定化手法とは例えば自社製品やサービスのファンに対して別の複数の商品を購入・利用してもらえることを目標とします。いわゆる既存顧客をマーケット(市場)として製品やサービスを開発したり販売目標としたりするケースです。
製品特定化
製品特定型とは需要の大きい製品やサービスを複数の顧客に販売する手法です。
全市場カバー
いわゆるマスを狙った手法です。全てのマーケット(市場)や顧客に対して複数の製品やサービスを販売する手法ですが、資金力をはじめとした経営資源がものを言う場合が多々あります。
STP分析「ポジショニング」
ポジショニングはポジショニングマップを使い自社の製品やサービスがマーケット(市場)においてより優位性が高まるように分析し戦略を作ることを言います。セグメンテーションからターゲティングの流れで決めたマーケット(市場)でもほとんどのケースで競合は存在するためポジショニングが重要になります。
ポジショニングマップにより自社製品・サービスと競合とのマーケット(市場)における立ち位置を明らかにし、問題点や施策を考えます。
話題のマーケティング手法
最後に最近話題になってたマーケティング手法を簡単に紹介します。
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングとはSNSで影響力のある方(インフルエンサー)に自社の製品やサービスを紹介してもらう手法です。紹介の仕方はいろいろで使った感想もあれば参加したイベントなどの感想をPRしてもらうケースもあります。
コンテンツマーケティング
よくあるコーポレートサイトの製品紹介のようなものではなく、製品やサービスの特設サイトを作り記事や動画によってユーザーの獲得を目指す方法です。
マーケティングオートメーション
いわゆるマーケティングの可能なかぎりの自動化ということになります。今まで人の手でやっていたことをアプリケーションやクラウドサービスにより自動化しマーケティングの効率化と安定化を目指します。