土用の丑の日など、夏の暑い時期にスタミナをつけたい時にはやっぱりウナギを食べたくなりますよね。一方、煮穴子や白焼きで寿司ネタとして有名なのがアナゴです。どちらもニョロニョロした蛇のような体型をしていてよく似ています。ウナギとアナゴ、違う魚だということは分かるのですが、具体的にどういった点が異なっているのかご存知でしょうか?今回の「今さら聞けないチガイ」シリーズはウナギとアナゴの違いについてです。
ウナギとは!?
ウナギというのは、ウナギ目ウナギ科ウナギ属に含まれる魚の総称です。世界に19種類いるウナギの内、通常は食用となるニホンウナギのことを指すことが多いですね。ウナギは川に棲んでいる魚ですが、産卵は海で行います。最近の研究では、日本からはるか離れたマリアナ諸島までいって産卵し、日本に帰って来ていることが分かりました。ところが、ウナギの中には海で一生を過ごす個体もいて、産卵場所に向かうウナギを調べると川からやってきたウナギは20%ほどだったという研究結果もあります。
海で生まれたウナギは、レプトケファルスという柳の葉っぱのような形になって日本を目指します。そして1年をかけて川にたどり着きシラスウナギになるんです。ウナギといえば養殖が有名ですが、親魚から卵を産ませて養殖する完全養殖はまだ研究段階で実用化されていません。売られているすべての養殖ウナギは、川に上ってきたシラスウナギを育てた蓄養なんです。
シラスウナギ漁は12~4月ごろまで行われます。12月ごろに養殖池に入れられたウナギは、最短で翌年の土曜の丑の日には出荷されます。ボイラーを炊いて30℃以上の高水温を保ち、栄養価の高い餌を与えることでこの成長速度が実現するんです。
養殖に使うシラスウナギは天然魚で、しかも近年は乱獲の影響もあって漁獲量が安定しません。シラスウナギは1kgで約6000匹ほどになりますが、年によって価格は1kgあたり40万円~300万円とかなり幅があります。
アナゴとは!?
一方アナゴというのはウナギ目アナゴ科に属する海水魚の総称です。つまりアナゴとウナギはとても近い仲間なんですね。アナゴの仲間は浅い海から深海まで幅広く繁栄していて、150種類以上が知られています。
煮穴子などで食べられるアナゴはマアナゴという種類で、一般にアナゴというとマアナゴを指すことがほとんどでしょう。ウナギが石の下など障害物を好んで生息するのに対して、アナゴは砂泥の海底に巣穴を掘って生息しています。また、ウナギは顕微鏡で観察すると鱗があるのですが、アナゴには一切ありません。
アナゴ(マアナゴ)もウナギの仲間だけあって、日本から遠く離れた九州・パラオ海嶺というところに集まって産卵していることが分かりました。レプトケファルスの形になって日本近海に帰ってきます。
シラス漁に混ざって捕れるアナゴのレプトケファルスは、ノレソレやベラタという名前で食用になります。新鮮なものを生姜醤油やポン酢でいただきます。
シラスウナギの不漁と、それによる養殖ウナギの高騰から、一時期代用としてアナゴの蓄養や販売が行われていたのですが、近年ではアナゴも漁獲量が減っています。ウナギと同様に特殊な繁殖方法であるため、捕獲圧に弱い魚とも言われています。
ウナギとアナゴの違いまとめ
- ウナギ、アナゴともにウナギ目に属する近い魚
- ウナギは川や海に生息するが、アナゴは海水魚
- アナゴはレプトケファルスも食用にする
観てもらいたい動画!!