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「標本」と「剥製」の違いをご存知ですか!?

「標本」と「剥製」の違いをご存知ですか!?

博物館や昆虫館に行くと、たくさんの標本が並んでいますね。とくに蝶の標本は美しくて目を引きます。一方、標本と同じように博物館などに展示されているのが剥製です。剥製はシカやクマなど、哺乳類が多いように思います。標本と剥製、どちらも動物の死体を腐らないように処理している点では同じですが、正確な違いをご存知ですか?ということで今回の「今さら聞けないチガイ」シリーズは標本と剥製の違いについてです。

標本とは!?

標本という言葉は、実は研究分野によって意味合いが変わってきます。一般的に言う、動物や植物の死体を保存する場合は、分類学的な意味での標本です。分類学で言う標本というのは、動植物の体全体か、あるいは特徴的な一部分のみを腐らないように処理して保管したものです。標本はその動物や植物が存在した証拠として重要であり、合わせて採集した場所や日時、採集者の名前を記録しないと意味がありません。

新種と思われる動植物を発見した場合、新種として登録するにはタイプ標本といって、その種の標準となる個体の標本が必ず必要となります。また、昆虫の場合には個人で集めて標本を作るというコレクションとしての側面が強いのですが、それら個人が作った標本も後々、採集した場所が新たな生息地だったことが判明したり、実は新種が混ざっていたりと、分類学に貢献することもあります。

標本は大きく乾燥標本液浸標本の2種に分けることができます。乾燥標本は植物や昆虫で使われる方法で、十分に水分を飛ばして乾燥させたあと、虫食いを防ぐため防虫剤などと共に保管されます。

一方の液浸標本は、小型の哺乳類や爬虫類・両生類、さらに魚類で使われる手法です。液浸標本ではまず、ホルマリンを使って防腐処理を行います。この工程を固定と言います。固定が完了したあと、動物の種類によっては、ホルマリンよりも安全性の高いアルコールに浸けて保存することもあります。

剥製とは!?

一方の剥製というのは、正確には剥製標本といって、乾燥標本の1種です。先に説明した液浸標本は固定から保管の過程で色が抜けてしまったり、変形したりと、生前の姿をそのまま残すことができません。

そこで、生前の外見的な形態を残したまま保存する技術が剥製というわけです。剥製を作る場合、腐食しやすい内臓や筋肉をすべて抜き取り、皮膚と一部の骨だけを残します。皮膚に防腐処理を施した後、発泡スチロールなどを充填して生前の姿を再現するんです。

学術研究のため、ポージングなどは考慮せず、最低限の充填剤だけで作る剥製のことを簡易剥製と言います。一方、生前の骨格や筋肉、ポーズを考慮して作る剥製を本剥製と呼ぶんです。本剥製ではプラスチックやガラスでできた義眼をはめ込み、表情にも気を使います。つまり、博物館などで目にする動物の剥製は本剥製というわけですね。

剥製は学術目的だけでなく、インテリアとして作成される場合があることも標本とは大きく異なります。狩猟が盛んな欧米などでは、獲物の頭部を剥製にして飾ることもありますね。

標本と剥製の違いまとめ

  • 標本は動植物が存在していた証明として収集される。
  • 標本は外見的な美観は考慮しない
  • 剥製は標本の1種で、生前の姿を再現するための手法

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