アクアリウムハジメマシタ!!

アクアリウムに殺菌灯は必要?不要?効果と使い方をまとめてみた

アクアリウムに殺菌灯は必要?不要?効果と使い方をまとめてみた

アクアリウムをやっていると始めは水槽に魚がいるだけで、水の音がするだけで嬉しかったのに、いつのまにか魚の病気や水の汚れがだんだんと気になってきます。そんな時はネットなんかで調べたりショップの店員さんに質問したりといろいろやってみるものですが、そうしていると絶対目にしたり、耳にしたりするのが殺菌灯!!紫外線で菌などを除去してくれるとかって話ですごい効果があるようにも感じて、ついつい高額だけど購入してしまったりします。そんな殺菌灯について今回はその効果や使い方から本当に必要なのかどうなのかを説明していきたいと思います。

殺菌灯とは!?

殺菌灯は紫外線を発光し水中の殺菌や消毒、有機物の分解をしてくれる道具です。アクアリウムを長くやっていると1度は使ったことがあるという人も多いと思います。

そもそも紫外線にはさまざまな波長域がありますが、一般的に紫外線の中でも殺菌線と言われるものはその波長が253.7nmのもののことを指します。この253.7nmになっている根拠はその波長が殺菌効果が強い点と人工的に作り出しやすい点からだそうです。

実際アクアリウム用だけでなく食品・薬品・電子工業などにおいてはこの253.7nmの波長の紫外線が多く使われています。殺菌灯はこの紫外線を病原菌などの微生物に照射することで核酸(DNA)を破壊して分解します。

オゾナイザーとの違い

殺菌灯以外に殺菌目的で使われるものにオゾナイザーといわれるものがあります。殺菌灯は紫外線の力で殺菌を行いますが、オゾナイザーは水中に発生させたオゾンの力で殺菌を行います。

オゾンはその殺菌効果により消臭まで期待できる物質ですが、実はある程度の濃度を超えると人体にさえ悪影響を及ぼしてしまう使い方を間違えると物質です。実際、日本産業衛生学会では0.1ppmをこえると鼻やのどへの刺激を感じるという指標を公表しています。50ppmを超えると生命の危険が起こるそうです。

オゾナイザーについては初心者のうちはあまり使わない方が無難だと言えます。ある程度知識がついてアクアリウムに慣れてきたり、大型の水槽を導入する場合には検討してみてもいいかもしれません。

殺菌灯に期待できる効果

殺菌灯にはさまざまな効果が期待できます。

病気の予防

殺菌灯に一番期待する効果はなんといっても病気のもとになるものの除去です。魚で有名な病気としては白点病がありますが、この白点病の原因となる病原菌などの組織を紫外線で破壊します。もちろん白点病以外の病原菌についても同じような効果が期待できます。とはいえ、殺菌灯はあくまで補助的なものなので濾過槽含め水質の管理の手を抜いてはいけません。

最後に一つ注意点があります。業務用の強力な殺菌灯であれば別ですが、家庭でのアクアリウム用のものでは寄生虫を処理することは基本的にできません。なので殺菌灯があっても釣ってきた魚を飼う場合には絶対に淡水浴をして寄生虫をできるだけとってから水槽にいれてください。

有機物を分解する

エサの残りカスや水中生物の排泄物のタンパク質を紫外線でアミノ酸に分解します。ただしこれはあくまで理論上の話であり、目に見える効果が期待できるかは微妙なところです。タンパク質の除去については殺菌灯+プロテインスキマーの運用がおすすめです。

コケの繁殖を抑える

殺菌灯はコケの繁殖も抑えてくれます。水中にはコケの胞子が漂っていますが、その胞子が殺菌灯の中を水にのって通ることで紫外線によって破壊されます。ただしあくまでコケの胞子を破壊するのであってすでに生えているコケ自体が枯れるとかというわけではありません

水の着色を抑える

水中生物のエサには少なからず植物性の原料がはいっています。植物性の原料が微生物によって分解された最終生成物がフミン質といわれるのですが、このフミン質が着色(黄ばみ)の原因となります。殺菌灯はこのフミン質を分解してくれます。結果着色(黄ばみ)を抑えることができます。

臭いを抑える

臭いの元となる菌を殺菌・消毒し水槽や濾過槽から発生する臭いを抑えます。臭いは基本的には濾過槽の機能不足や水換え不足で発生しますが、この臭い発生を抑える補助的な役割を殺菌灯が担います。

殺菌灯の使い方

設置方法

殺菌灯の設置位置は濾過器の後、クーラーの前です。

殺菌灯の設置位置

殺菌灯の設置位置

殺菌灯Q&A

濾過槽の中のバクテリアは死なないの!?

死にません。殺菌灯はあくまで殺菌灯の中を通過した水に含まれている菌や胞子を殺菌・消毒します。ですので、濾過槽内のバクテリアに影響が及ぶことはありません。ただし一部、殺菌灯を通過する水の中にいるバクテリアは死ぬ可能性があります。

クーラーの前と後ろどっちがいいの!?

殺菌灯をつける時によく「クーラーの前がいいか、後ろがいいか」という質問を受けたことがあります。クーラーは水を冷やすことを目的としているので、殺菌灯をクーラーの後につけると少し温度があがる可能性があります。ですので殺菌灯はクーラーの前につけてください

殺菌灯があればプロテインスキマーはいらないの!?

殺菌灯もプロテインスキマーもあくまで水質管理の上での補助的なツールです。殺菌灯だけだも、プロテインスキマーだけでも効果はもちろんありますが、併用するとさらに効果アップが期待できるということになります。

裸の殺菌灯を直接水に照射したらどうなるの!?

殺菌灯のランプの光を直接水槽の水にあてると水中生物などの生き物がボロボロになってしまいます。強い紫外線を受けたら人もまずいのと同じことです。また殺菌灯のランプ自体を直接裸眼で見るのも危険なのでやめましょう。

定期的メンテナンスについて

ランプの交換

殺菌灯に使われているランプはGLランプと高純度石英ガラスをした高出力ランプがあります。GLランプのは3,000〜4,000時間で高出力ランプは約7,000時間で寿命です。寿命といっても性能が60%以下になるということで、いきなり性能がなくなると言う話ではありません。ただし、高純度型に比べて安価なGLランプは寿命がすぎた途端に急激に性能が落ちていきます。高価な高純度型は寿命がすぎた後も性能の低下はゆっくりとしていて、ある程度効力を維持し続けます。とはいえGLランプにしても高純度型にしても寿命がすぎたあとはランプの交換などのメンテナンスが必要です。

ランプを覆っているガラス菅の掃除

殺菌灯の内部でランプを覆っているガラスは経過とともに汚れがついてしまいますので、この殺菌灯を分解してこのガラス管を定期的に掃除する必要があります。

殺菌灯の注意点

水槽立ち上げ後すぐに点灯しない

水槽立ち上げ後すぐに殺菌灯を点灯すると濾過槽にバクテリアが定着する前に紫外線により死んでしまいます。こうなるといつまでも濾過機能が働かなくなるので、殺菌灯についてはある程度水槽や濾過器が立ち上げってからにしてください。

病気が治るわけではない

殺菌灯は紫外線によって病原となる菌などを殺菌・除菌し病気の予防を促しますが、魚などの水中生物が一度病気になってしまうと、殺菌灯ではどしようもありません。一度病気になった魚などには病薬を投与するなどの対策をしてください。

水温が多少あがってしまう

殺菌灯だけに限った話ではありませんが、ランプの熱によって水温が多少あがってしまいます。

殺菌灯の紫外線を直接見ない

殺菌灯のランプの光は紫外線なので直接見ることはやめてください。紫外線は水中生物だけでなく人体にも悪影響をおよぼします。

ろ過用のバクテリアを追加する時は消灯させる

水槽に濾過バクテリアを追加する時は殺菌灯を消灯させる方がいいです。濾過槽に住み着いていたり、ライブロックなどについているバクテリアにはもちろん影響はないのですが、水中に漂うバクテリアに対しては悪玉であれ善玉であれ影響があります。というのも紫外線から見たら同じものですので、殺菌灯の中に水とともにはいってしまえば除去されてしまいます。

病薬を投与する時は消灯させる

水中生物が病気になり病薬を水槽に投与する時は殺菌灯を消灯させてください。病薬自体の成分が紫外線によって分解され変異もしくは効果がなくなる可能性があります。病薬投与後は、水換えをしてから殺菌灯を点灯させるようにしてください。

一部のコケにしか効果がない

殺菌灯が破壊するコケの胞子には種類があります。緑色のコケには効果がありますが、茶色のコケやピンク色のコケには一般的に効果はない、もしくは薄いと言われています。ですので、コケの対策については殺菌灯だけに頼らずこまめな掃除などが必要です。

46時中点灯させておく必要はない

殺菌灯は46時中ず〜っと点灯させておく必要はありません。基本的にはずっと点灯させたままにしますが、様子を見て点灯させる時間を調整してください。

人に対して使わない

殺菌灯を人に対して使用しないでください。殺菌灯のランプを直接人に照射する行為は危険行為です。

殺菌灯の選び方

水量にあっているか

殺菌灯に対して水量が多いと水槽内の水がなかなか殺菌灯へ流れず、菌が繁殖してしまいます。逆にオーバースペックなものだと予算的に無駄になってしまうので、水量にあった殺菌灯を選ぶようにしましょう。

耐久性

殺菌灯の紫外線は殺菌灯自体にも影響をおよぼします。殺菌灯から発せられる紫外線により殺菌灯本体に穴があいてしまったりします。殺菌灯を購入する場合は耐久性にも着目して選んでください。

価格

殺菌灯の価格はピンキリです。安価なものから高価なものまでいろいろとあります。殺菌灯を初めて使う場合は仕様さえあっていれば安価なものからはじめて、慣れてきたらいろいろと試したりグレードアップする方向性がいいと思います。