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釣ってきた魚を飼う時におこる病気や症状って?

釣ってきた魚を飼う時におこる病気や症状って?

海から釣りで捕まえた魚を持ち帰り、水槽で飼い始めると様々な病気が発生することがあります。ほとんどは海から連れ帰ったときから付着している寄生虫が原因なのですが、中には釣りという捕獲方法特有の症状もあるんです。今回はそんな、釣ってきた魚を飼う時におこる病気や症状について解説していきます。

減圧症

釣ってきた魚を飼う時におこる病気や症状って?

減圧症で目の飛び出たカサゴ

釣ってきた魚を飼う時におこる病気や症状って?

水槽に入れて2週間後に発生した減圧症で
目にガスが溜まっている

釣りで捕獲した魚に起こる特有の症状が減圧症です。魚の血中に溶け込んでる窒素が、海底から釣り上げられることで水圧が下がってガス化し、体のあちこちに溜まってしまいます。20mより深い海から釣り上げた魚は目や浮き袋が飛び出すことが多く、飼育は困難です。また、釣り上げたときには一見して症状が出ていなくても、持ち帰って2週間からときには数カ月後に発生することもあります。

浮き袋が膨張して泳ぎづらそうにしたり、目の表面にガスが溜まってしまう症状が一般的です。浮き袋の膨張は時間の経過とともに治ることもありますが、目にガスが溜まると失明してしまい、治療は困難です。注射器などでガスを抜いたとしても、すぐに新しく溜まってしまいます。

減圧症の治療は、もういちど強い水圧を掛けるしかないことから、一般の家庭では困難です。釣り上げるときに工夫するしかなく、

  1. 持ち帰って飼育する魚は10mより浅い水深で釣る
  2. 魚が針に掛かったら、なるべく時間を掛けてゆっくり釣り上げる
  3. 一見回復しても、釣った直後にひっくり返っていた魚は逃がす

という点を心がけると良いでしょう。

白点病

白点病クリプトカリオン・イリタンスCryptocaryon irritans)という原虫(白点虫)の寄生で発生します。淡水魚でも白点病は発生しますが、症状が似ているだけで原因となる寄生虫はまったく違う種類です。

体の表面や鰭に白点虫が付着することで白い点々が発生します。皮膚の内部で白点虫が激しく旋回運動し刺激されかゆみが出るため、魚が体を岩などに擦り付けるようになります。また、白点虫は鰓にも寄生するため、症状が重くなると酸欠になって急激に弱ってしまう場合もあります。

白点虫は魚の体に寄生して成長し、その後魚の体を離れで分裂、再度寄生して成長というサイクルを繰り返しています。魚に寄生している状態の白点虫には薬などは効果が無いので、魚の体を離れた白点虫を駆除し、全体の数を減らすしかありません。

白点虫の駆除に効果的なのはホルマリン硫酸銅といった化学薬品ですが、取り扱いが難しいです。そこで効果が高く、しかも安全な方法としてオススメなのが半海水浴です。つまり、海水を半分に薄めて魚を飼育します。半海水であれば、大抵の魚は問題なく飼育できます。ところが魚の体から離れた寄生虫は浸透圧の調整ができずに死んでしまうんです。直接、飼育している水槽を半海水にするのは後々大変なので、別に治療用水槽を設けることをオススメします。2~3週間ほど半海水で飼育すれば、キレイに治ってしまいますよ。

※淡水で発生する白点病の治療法として水温を28℃以上に上げるという方法がありますが、海水の白点病は高水温で活性化してしまうので逆効果です!

ハダムシ

ハダムシというのは、ベネデニアBenedenia spp.)という寄生虫の総称です。ハダムシは小判型の体型で2~3mmの小型種から、1cm近い大きな種類もいます。魚の体表に寄生し、体液を吸い取って生きています。
ハダムシは大量発生しなければ問題ないのですが、あまりに多く発生すると魚が貧血になったり、体表の粘液が侵されて弱ってしまいます。釣りの対象となる魚では、ハタの仲間やアジの仲間によく付いています。
体表に白っぽくモヤが掛かったようになったり、目が白く濁っている、また、魚が痒そうに体を岩に擦り付けることで発覚します。

ハダムシの魚に寄生している親虫は20分ほどの淡水浴で簡単に落ちるのですが、水槽の中やろ過器の中に、卵が残っています。そのため、体のハダムシを駆除しただけではまた元通り寄生されてしまうんです。
まずはハダムシを水槽に持ち込まないことが重要です。そのため、持ち帰った魚は必ず淡水浴を行いましょう。

水槽内でハダムシが発生したら、定期的に淡水浴を行い親虫の数を減らしていきましょう。

リムフォシスティス病

リムフォシスティス病ウイルス感染で発生する病気ですが、死亡率は低いです。魚を網で掬ったときなどにできた体表の傷からウイルスが感染し、ヒレの先端などに白いモヤモヤとした綿のようなものが付着します。

体表やヒレなら問題は少ないのですが、口先に発生すると餌を食べれずに衰弱してしまいます。リムフォシスティス病の予防としては、まず魚の体に傷を作らないように優しく扱うことです。もし発生してしまっても焦ることはありません。淡水浴を行って、モヤモヤとした綿のような物を指で優しく拭ってあげれば大抵完治します。


観てもらいたい動画!!