「シリーズ社会保障 簡単解説 vol.002」は雇用保険・失業保険の中で失業期間中に短期でアルバイトした場合などに使える「就業手当」です。「就業手当」については誤解されている方も多いと思います。
就業手当とは!?
失業給付を受給している最中はアルバイトなど短期的な労働をすることを禁止されていると思っている方も多いのではないでしょうか?もちろん失業給付金は原則として失業している方に対して給付されるお金ですから、数日単位の短期のアルバイトであっても基本的にはその給付は停止します。ただし、きちんとハローワークに申請していれば実は短期でのアルバイトなどをやることができます。そしてそのアルバイト期間中に停止した失業給付のかわりに給付されるのが就業手当なのです。
就業手当の給付額は?
気になるのがその給付額ですが、これは失業給付(失業手当)の30%と決まっています。つまり、仮に失業給付が日額5,000円だとしたら、その30%の1,500円が就業手当として給付されます。ですので、アルバイト等で3,501円以上の収入が見込めるのであれば、失業給付だけでは生活が難しい場合はやった方が良いということになります。ただし、あくまで失業給付は「この先も働く意思がある方」つまり再就職にのための求職活動をしている方が対象ですので、再就職活動に悪影響がでない範囲でのアルバイトにしましょう。
就業手当給付にかかわる条件
とはいえどんな方でも手当が給付されるわけではありません。実はかなり厳しい条件があります。
失業給付の残日数が所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上あること
例えば給付日数が90日の場合、残日数が35日だと受け取れません。3分の1以上という条件はクリアしていますが、45日以上あることをクリアしていないからです。「かつ」なので両方の条件を満たすことが必要です。
失業待機期間中でないこと
7日間の失業待機期間中ではダメということです。
退職した会社でないこと
これを認めると訳がわからないことになりますね。失業してないのでは?と。
給付制限期間が1ヶ月以内の場合は、ハローワークもしくは民間の職業紹介事業者からの紹介であること
これはつまり1ヶ月と1日以上経過していればハローワークもしくは民間職業紹介事業者からの紹介でなくても良いということになります。
ハローワークへの求職手続きの前にアルバイト等先が決まっていないこと
失業保険の申請や手続き前での約束はダメということです。手続きが完了してからにしてください。
就業手当を受け取ると失業給付の所定日数が減ります
当然といえば当然ですが、就業手当を受け取った日数分は失業給付の所定日数から差し引かれます。失業給付の所定給付日数が90日だった場合、就業手当を8日受け取ると90日-8日=82日になります。つまり手持ちの90日を失業給付に使うのか?就業手当に使うのか?と言ったところです。ですので、あまりに安価なアルバイトはもったいない可能性もあります。まぁ、世の中がお金が全てではないですが。
就業手当はもらわないという選択をすることもできます。申請しなければ良いだけです。
こちらの記事はあくまで制度をわかりやすく解説した記事です。詳しい制度内容についてはハローワーク等のサイトでご確認いただくか、直接ハローワークにお問い合わせください。